かぎ針は「目が見えるか」で決まる
かぎ針編みは、前の段の目に針を入れて1目ずつ拾っていきます。どこに入れるかが分からなければ、そこで止まります。棒針なら目は針に刺さっているので落とさない限り見失いませんが、かぎ針にその保険はありません。
だから最初の1玉は、編み地に凹凸がはっきり出る糸を選びます。撚りがしっかりしていて、毛羽が少なく、色が明るい単色。この3つが揃っていれば、編み目の「V」や鎖の形が目で追えます。
逆に、毛足の長いモヘア、モール糸、太さが不規則なスラブ糸、色が細かく変わる段染め糸は、どれも目の輪郭を消します。編めるようになってから戻ってくれば楽しい糸ですが、最初の1玉ではありません。
太さは並太前後、針は5/0〜6/0号
イトシラベに登録している毛糸377件のうち、かぎ針の推奨号数がラベルに書かれているのは105件です。その105件が推奨する号数を数えると、5/0号と6/0号がそれぞれ23件で最多、続いて7/0号20件、4/0号17件でした。
つまり、市販の毛糸がいちばん多く想定しているかぎ針は5/0〜6/0号です。手持ちの針を1本だけ買うなら、この帯から始めるとレシピにも糸にも合わせやすくなります。並太の毛糸は、だいたいこの号数帯に入ります。
細い糸(レース糸や中細)は、目は数えられても1目が小さく、進みが遅いぶん先に手が疲れます。逆に極太は早く編めますが、目が大きすぎて力の入れ方が安定しないうちは編み地がガタつきます。最初は並太前後が扱いやすい帯です。
綿とウール、最初はどっち
かぎ針の推奨号数が書かれている105件の素材の内訳は、ウールが主のもの36件、綿が主のもの36件で、ちょうど同数でした。どちらもかぎ針向けに広く売られている、ということです。
綿は伸びないので、編み目の大きさが揃いやすく、ほどいてもよれません。**最初の練習には綿が向きます。**ただし滑りにくいぶん手はやや疲れます。コースター・アクリルたわし・小さなモチーフのような、平らに編むものと相性がいい素材です。
ウールは弾力があり、多少目の大きさが揃わなくても編み地がなじんで見えます。編んでいて気持ちがいいのはこちらです。一方で、失敗してほどくと糸が縮れて元に戻りにくいので、何度もやり直す前提の練習には向きません。
迷ったら、綿で1つ編んで、2つめをウールにするのが無理のない順番です。
データで見る「目が数えやすい」候補
イトシラベに登録している毛糸のうち、かぎ針の推奨号数がラベルに書かれていて、かつ編集部があみぐるみ適性を4以上と判定しているのは次の4点です。あみぐるみは細編みをびっしり詰めて編むので、目が見えないと成立しません。**「目が数えやすい糸」の実質的な指標として使えます。**
DARUMA ソフトコットン(綿100%・かぎ針4/0〜5/0号・50g/164m)、リッチモア ドラ・マール(綿100%・5/0号・30g/93m)、スキー毛糸 スキーUVコットン(綿100%・3/0〜4/0号・25g/92m)、スキー毛糸 コットンジニー(綿96%・ポリエステル4%・3/0〜4/0号・25g/95m)。
4点すべてが綿主体で、推奨号数も3/0〜5/0号に集まりました。前の項で書いた「綿・並太前後・5/0号」という結論と、データ側から見ても矛盾しません。
最初に編むなら
かぎ針の最初の作品は、鎖編みと細編みだけで完成するものが確実です。コースター、アクリルたわし、四角いモチーフ。どれも「段の終わりが分かる」「間違えても数段でやり直せる」という点で共通しています。
最初からあみぐるみに行くのは、実は遠回りです。あみぐるみは増減目と輪の作り目が必要で、しかも目が詰まって見えにくい。平らなものを1つ編んで、目の形が分かってからのほうが早く着きます。
糸は、1つの作品を1玉で終える量から始めます。足りなくて色ロットを探し回るのが、最初のうちは一番やる気を削ります。
はじめてのかぎ針編みに向く糸・向かない糸
| 糸のタイプ | 最初の1玉として | 理由 |
|---|---|---|
| 綿・並太の単色 | 向く | 伸びず目が揃う。編み地の凹凸が見える |
| ウール・並太の単色 | 向く | 弾力があり編みやすい。ただしほどくと縮れる |
| アクリル・並太の単色 | 向く | 安価で練習量を稼げる。明るい色を選ぶ |
| モヘア・モール | 向かない | 毛足で目の輪郭が消える |
| 段染め・スラブ | 向かない | 色や太さの変化で目の切れ目が分からない |
| 濃紺・黒などの濃色 | 向かない | 影と目の区別がつかない |
| レース糸 | 向かない | 目が小さく、最初は数えるのに疲れる |
よくある質問
- かぎ針編みの初心者におすすめの毛糸は?
- 綿かウールの、明るい単色・並太前後です。かぎ針は5/0〜6/0号。目の輪郭が見えることが最優先なので、モヘア・モール・段染めは避けます。
- かぎ針は何号を買えばいい?
- まず1本なら5/0号か6/0号です。イトシラベ登録の毛糸でかぎ針号数が書かれている105件のうち、5/0号と6/0号がそれぞれ23件で最も多く想定されていました。
- 最初は綿とウールどっちがいい?
- 練習なら綿です。伸びないので目が揃いやすく、ほどいても糸がよれません。ウールは編み心地はいいのですが、ほどくと縮れて元に戻りにくいです。
- 100均の毛糸でも始められる?
- 始められます。アクリルの並太・明るい単色なら練習には十分です。ただしラベルに糸長や推奨針が書かれていないことが多いので、必要量の計算が必要な作品には向きません。
注意点
- かぎ針の号数(◯/0号)と棒針の号数は別の規格です。「5号」と「5/0号」は違う太さを指します。
- ラベルに推奨針が書かれていない毛糸もあります。イトシラベ登録の377件のうち、かぎ針の号数が確認できたのは105件でした。
- 同じ号数でも、編む力の強さで目の大きさは変わります。編み地が固すぎると感じたら1号太く、ゆるすぎたら1号細くします。