帽子に向く糸の選び方
①伸びて戻ること(最重要)
帽子は頭にかぶって広がり、脱ぐと戻ります。この往復に耐えるのが伸縮です。ウールは繊維自体が縮れているので、伸ばしても戻ります。逆に麻・紙・綿100%は伸びたまま戻らないので、かぶるたびにかぶり口が広がります。
②肌に直接あたることを忘れない
帽子は額とこめかみに一日中触れます。ちくちくが気になる人は、メリノ・エクストラファインメリノ・アルパカなど繊維の細い羊毛か、アクリル混を選んでください。「セーターは平気だったのに帽子は無理」はよくあります。
③太さで所要時間が決まる
同じ帽子でも、極太なら2〜3時間、中細なら数日かかります。初めての1枚は並太か極太が安全です。細い糸は模様がきれいに出ますが、目数が3倍近くになります。
④洗えるかどうか
帽子は汗と皮脂が付きます。ウール100%は手洗いか、縮むのを覚悟で。防縮加工(スーパーウォッシュ)やアクリル混なら洗濯機で洗えるものもあります。子ども用は特にここを見てください。
素材別の特徴
| 素材 | 伸び・戻り | 暖かさ | 肌あたり | 洗いやすさ |
|---|---|---|---|---|
| ウール(メリノ) | ◎ | ◎ | ○ | △ |
| ウール×アクリル混 | ◎ | ○ | ○ | ◎ |
| アルパカ混 | ○ | ◎ | ◎ | △ |
| アクリル100% | △ | ○ | ○ | ◎ |
| モヘア・ファンシー | ○ | ◎ | △ | △ |
| コットン(綿) | ✕ | △ | ◎ | ◎ |
| レーヨン(エコアンダリヤ等) | ✕ | ✕ | ○ | △ |
| 麻・和紙 | ✕ | ✕ | △ | △ |
◎○△✕ は素材の一般的な傾向からの目安で、商品ごとの実測ではありません。レーヨン・麻・和紙が「伸び✕」なのは欠点ではなく、夏の帽子では逆に形が決まるという長所になります(冬のニット帽には向かない、という意味です)。
部位別に考える
かぶり口(ゴム編み)
本体より1〜2号細い針で、長めに編みます。ここが伸びると帽子は下がってきます。1目ゴム編みは2目ゴム編みより締まります。
本体(メリヤス・模様)
ラベルの推奨針でかまいません。きつく編みすぎると頭が入らないので、ゲージは必ず取ってください。
トップ(減目)
6分割か8分割が定番。分割数が少ないほど尖った形、多いほど丸い形になります。
ポンポン・折り返し
ポンポンは同じ糸で作れます。折り返し(ダブルブリム)にすると耳が二重になって暖かい反面、糸量が1.3倍ほど増えます。
必要な毛糸の量・玉数
| サイズ | 必要な糸の総量(目安) | 例:50g/100m の糸 |
|---|---|---|
| 大人(頭囲56cm前後・折り返しなし) | 約120〜180m | 並太40g110mなら 2玉 |
| 大人(折り返しあり・深め) | 約180〜240m | 並太40g110mなら 2〜3玉 |
| 大人(極太でざっくり) | 約80〜120m | 極太40g50mなら 2〜3玉 |
| 子ども(頭囲50cm前後) | 約90〜130m | 並太40g110mなら 1〜2玉 |
ゲージ・深さ・模様で変わります。総メートル数で見て、1玉ぶん余裕を持って買ってください。ポンポンを付けるなら20〜30m足します。サイズは /tool/hat の帽子計算で目数まで出せます。
よくある失敗と対策
| 失敗 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| かぶっていると下がってくる | かぶり口が伸びたまま戻っていない | ゴム編みを本体より1〜2号細い針で、長めに編む。麻・綿100%を冬帽子に使わない |
| 額がちくちくする | 繊維が太い羊毛が直接あたっている | メリノ・エクストラファインメリノ・アルパカ・アクリル混に変える。内側だけ別糸で二重にする手もある |
| 頭が入らない/ぶかぶか | ゲージを取らずに編んだ | 10cm角のゲージを取ってから目数を決める。/tool/hat に頭囲とゲージを入れると作り目が出る |
| 洗ったら縮んだ | ウール100%を洗濯機で洗った | 防縮(スーパーウォッシュ)表示かアクリル混を選ぶ。手洗いなら押し洗いで、こすらない |
| トップがとがる/ひらべったい | 減目の分割数と間隔が合っていない | 6分割は尖り、8分割は丸くなる。減目の段の間隔を1段おきにすると平たくなる |
帽子におすすめの毛糸
帽子向きの毛糸を見る(全31件・あと25件)
適性は素材特性からの推定値です(実使用レビューとは区別しています)。
指定の糸が手に入らないとき
各毛糸ページの「代替糸の候補」から、太さ・素材・1gあたりの糸長が近い糸を探せます。指定の糸が手に入らないときは、太さ(m/g)と伸縮のある素材かどうかを合わせれば置き換えられます。綿・麻・レーヨンへの置き換えだけは、かぶり心地が別物になるので避けてください。
よくある質問
- 帽子は何玉あれば編める?
- 大人サイズで総120〜180m。並太40g110mなら2玉が目安です。折り返しを付けるなら3玉見てください。
- アクリル100%でも編める?
- 編めます。洗えて安価ですが伸びたまま戻りにくいので、かぶり口を細めの針で長めに編んでください。
- 夏用の帽子はどの糸?
- レーヨン(エコアンダリヤなど)・和紙・麻です。伸びないぶん形が決まりますが、かぶり口はサイズ調整が必要です。冬のニット帽とは選ぶ基準が逆になります。
- 初めての1枚におすすめの太さは?
- 並太か極太です。極太なら2〜3時間で編み上がります。中細は目数が3倍近くになり、途中で挫折しやすくなります。
